2006年 10月 16日
FAX通信 vol21 |
会社法施行による決算書の変更点
平成18年5月1日より、会社法が施行されました。この会社法の施行に伴い、いわゆる「決算書」も大きく変わりました。
決算書には「貸借対照表」や「損益計算書」などの計算書類等がありますが、会社法の施行による主な変更点は以下の通りです。
(1)「株主資本等変動計算書」の作成
これまでの「利益処分案(又は損失処理案)」が廃止され、新たに「株主資本等変動計算書」を作成しなければならなくなりました。
「株主資本等変動計算書」とは、期中における「株主資本等」の「変動(増減)」を表す書類です。会社法では、株主への配当が株主総会の決議でいつでも可能になるため、決算後の利益処分方法を示す「利益処分案」の代わりに、配当の原資となる剰余金の変動を示す書類の作成が必要とされます。そこで、「純資産の部」の変動を一目で確認できる書類として加えられました。
(2)「資本の部」が「純資産の部」に変更
会社法により、貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」に変更されました。「純資産の部」は、「株主資本」「評価・換算差額等」「新株予約権」の3種類に区分されます。
(3)「個別注記表」の作成
従来の注記は「貸借対照表」「損益計算書」の一部でしたが、会社法では「個別注記表」として独立した書類となりました。そこに記載すべき事項は12種類ですが、「重要な会計方針に係る事項に関する注記」「株主資本等変動計算書に関する注記」「その他の注記」については、すべての会社(持分会社を除く)が注記しなければなりません。
DESに関する税制改正
(1)DESとは?
DESとは、Debt(借入金)Equity(資本)Swap(交換)を省略したもので、債権者が債務会社に対して行う金銭債権の現物出資のことをいいます。債権者側からすると、債務会社に対する貸付金が消滅し、その代わりに債務会社の発行する株式を取得することになります。債務会社側からすると、借入金という債務が資本に変わったことになるため借入金と資本の交換=DESと呼ばれています。
DES実行の際、借入金を資本に振り替える金額について、借入金の額面金額によるという考え方(券面額説)と借入金を時価評価した実際の価値によるという考え方(評価額説)の2つがあります。
従来は、どちらを採用するかについて税法上の規定がなく、東京地裁商事部の裁判実務で券面額説を採用していたため、一般的には借入金の額面金額を資本に振り替えていたと思われます。従って、貸借対照表上、額面金額だけ借入金が減少するのと同時にその同じ金額だけ資本が増加し、損益計算書上の影響はありませんでした。
(2)平成18年度税制改正による取扱の変更
今回の税制改正により、税務上の取扱として評価額説を採用することとなりました。
つまりDES実行の際には借入金を時価評価し、その時価評価した金額だけ資本に振り替え、額面金額との差額を債務消滅益として計上することになります。
例えば、帳簿上500万円の借入金(時価50万円)をDESにより資本に振り替える場合、資本に振り替える金額は50万円で、差額の450万円は債務消滅益として課税対象になります。
DESに関しては、新会社法では従来必要であった検査役の調査が不要になるなど、手続き面では簡素化されました。しかし、DESを実行するのは会社が苦境にあるときであるのが一般的であり、場合によっては増税になることもあることを考えると、改正前よりDESを実行しにくくなったとも言えます。
平成18年5月1日より、会社法が施行されました。この会社法の施行に伴い、いわゆる「決算書」も大きく変わりました。
決算書には「貸借対照表」や「損益計算書」などの計算書類等がありますが、会社法の施行による主な変更点は以下の通りです。
(1)「株主資本等変動計算書」の作成
これまでの「利益処分案(又は損失処理案)」が廃止され、新たに「株主資本等変動計算書」を作成しなければならなくなりました。
「株主資本等変動計算書」とは、期中における「株主資本等」の「変動(増減)」を表す書類です。会社法では、株主への配当が株主総会の決議でいつでも可能になるため、決算後の利益処分方法を示す「利益処分案」の代わりに、配当の原資となる剰余金の変動を示す書類の作成が必要とされます。そこで、「純資産の部」の変動を一目で確認できる書類として加えられました。
(2)「資本の部」が「純資産の部」に変更
会社法により、貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」に変更されました。「純資産の部」は、「株主資本」「評価・換算差額等」「新株予約権」の3種類に区分されます。
(3)「個別注記表」の作成
従来の注記は「貸借対照表」「損益計算書」の一部でしたが、会社法では「個別注記表」として独立した書類となりました。そこに記載すべき事項は12種類ですが、「重要な会計方針に係る事項に関する注記」「株主資本等変動計算書に関する注記」「その他の注記」については、すべての会社(持分会社を除く)が注記しなければなりません。
DESに関する税制改正
(1)DESとは?
DESとは、Debt(借入金)Equity(資本)Swap(交換)を省略したもので、債権者が債務会社に対して行う金銭債権の現物出資のことをいいます。債権者側からすると、債務会社に対する貸付金が消滅し、その代わりに債務会社の発行する株式を取得することになります。債務会社側からすると、借入金という債務が資本に変わったことになるため借入金と資本の交換=DESと呼ばれています。
DES実行の際、借入金を資本に振り替える金額について、借入金の額面金額によるという考え方(券面額説)と借入金を時価評価した実際の価値によるという考え方(評価額説)の2つがあります。
従来は、どちらを採用するかについて税法上の規定がなく、東京地裁商事部の裁判実務で券面額説を採用していたため、一般的には借入金の額面金額を資本に振り替えていたと思われます。従って、貸借対照表上、額面金額だけ借入金が減少するのと同時にその同じ金額だけ資本が増加し、損益計算書上の影響はありませんでした。
(2)平成18年度税制改正による取扱の変更
今回の税制改正により、税務上の取扱として評価額説を採用することとなりました。
つまりDES実行の際には借入金を時価評価し、その時価評価した金額だけ資本に振り替え、額面金額との差額を債務消滅益として計上することになります。
例えば、帳簿上500万円の借入金(時価50万円)をDESにより資本に振り替える場合、資本に振り替える金額は50万円で、差額の450万円は債務消滅益として課税対象になります。
DESに関しては、新会社法では従来必要であった検査役の調査が不要になるなど、手続き面では簡素化されました。しかし、DESを実行するのは会社が苦境にあるときであるのが一般的であり、場合によっては増税になることもあることを考えると、改正前よりDESを実行しにくくなったとも言えます。
by nbc-fax
| 2006-10-16 12:02